戸塚醸造店の純粋米酢『心の酢』は、1.米から米麹、2.米麹から酒、3.酒から酢を造るという3段階の発酵からなる天然醸造で、1年以上の時間をかけて手間を惜しまず造っています。
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江戸時代に薩摩藩の福山地方で壺酢づくりが始まりました。 その酢造りに使用していた『甕』を譲り受けました。いつ頃作られた甕なのか定かではありませんが、とても歴史を感じます。 この甕の中で、2〜3ヶ月じっくりと酢酸発酵が行われ、更に半年以上熟成させて純粋米酢『心の酢』となります。
良質な酢酸菌が棲んでいるため細心の注意を払い、たいせつに、たいせつに使っています。
「太ももの会」 この名前には深い想いが込められています。
それは、ミヒャエル・エンデの作品『モモ』から名付けられました。泥棒に時間を盗まれ、みんなが忙しくなってしまった中で、少女モモが時間泥棒を追う物語。
「忙しい」「忙しい」と言ってばかりの私たちは、大切な何かを忘れていないでしょうか?
そして「太」は、名付けた当時に流行っていたハイレグから。
「モモ」と「太もも」、語呂もいいでしょう?
原料のお米は有機栽培米コシヒカリです。山形県の庄内地方で、平成4年から無農薬で、有機肥料だけの栽培を続けています。
また鴨を使った除草や害虫対策は、この地方での草分けとなりました。鴨が水や泥を攪拌してくれるので雑草が生えにく、稲の株元が刺激されることによって、生育が良くなります。
このように原料を吟味し、信頼のおける生産者から届くものだけを使用しています。
日本農林規格(JAS)による分類
穀物酢 | 小麦・酒粕・米・コーンなど、穀物の使用量が40g/l以上のもの。 |
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米酢 | 米の使用量が40g/l以上のもの。 |
米だけで酢を作るためには、最低でも120g/lが必要となるため、一般の商品では醸造用アルコールを添加して、これを酢酸発酵させているそうです。
戸塚醸造店では米と麹と湧水だけを使用し、昔ながらの製法で160〜200g/lものお米をじっくり熟成させて造ります。
仕込みに使用する水は、富士吉田市の地下から汲み上げた「バナジウムを71μg/l含む」天然水です。
バナジウムは、体内での酸素運搬や脂肪代謝などの働きに寄与しているといわれている微量ミネラルです。
最近の研究では血糖値を下げることが示唆され、糖尿病を改善するのではと注目されています。
洗米は、すべて手研ぎで行っています。浸漬時間を逆算しながら、手早く一粒一粒きれいに研いでいきます。
洗い終えた米は、半日程度水を吸わせ(浸漬)た後、水を切ります。
糖化されやすい理想的な蒸米を作るために、時間を計算しながらの作業です。
甑(こしき)で外硬内軟に蒸しあがったら、熱を飛して麹室に引き込みます。
この洗米・浸漬・蒸し作業で、麹の出来が決まります。
麹造りでは、計48時間かけて発酵させます。
蒸米に種麹が均等に付くように慎重に振りかけ、蒸米と麹菌を良く混ぜて(床揉み)、保温します(ねかし)。
前半の24時間は30度を維持します。発酵熱が徐々に出てくるので、温度調整を慎重に行います。
24時間後、麹菌の増殖で固まった蒸米を、一粒一粒バラバラにして平らに広げます。
後半の24時間は麹菌の繁殖も活発になり、徐々に温度を上げつつ40度で繁殖させます。
米の表面に麹菌が繁殖して塊になるので、発酵にバラつきが出ないように、途中で手入れ(混ぜて熱を飛ばす)を数時間おきに行ないます。
丁寧にバラバラにした後は、麹菌が米の内側へ繁殖するように、温度調節と手入れを繰り返し行います。
48時間かけて出来上がった米麹を、丁寧にほぐして木箱に入れます。
発酵を止めるため更に24時間かけて温度を下げ、湿気を飛ばします(枯らし)。その間、再発酵しないように、手入れを繰り返します。
これで麹が完成しました。
いよいよ、これから酢もともろみ(酒)造りです。
新たに追加する米を蒸します。
そして、樽内の仕込み水に酵母菌を入れ、米麹、蒸し米を交互に投入しながら、攪拌します。
樽の中では、麹の働きでお米が糖に、酵母の働きで糖がアルコールへと、二つの変換が同時に行われています。
糖が変換される時、半分はアルコール、半分は炭酸ガスに変わります。プクプクと泡が出ているうちは、まだ発酵中。
毎日数回櫂入れをして、発酵にバラつきが出ないようによく混ぜ、発酵を促進します。
それから約2ヶ月でアルコール発酵が終わり、米酢のもととなるお酒の完成です。
出来た「酢もともろみ」を水で割り、良質の種酢を加え、良く撹拌して甕へ移します。
酢酸菌の発酵温度である35度を維持しつつ、約3ヶ月の酢酸発酵(昔ながらの静置発酵法)の始まりです。
2、3日後、表面が酢酸菌膜に覆われてきます。この酢酸菌膜がアルコールを栄養にして、酸素を吸いながらゆっくりと酢酸菌を増殖させています。
毎日温度管理と菌膜の状態をチェックして、3ヶ月後アルコール分がなくなると完成です。
最初の麹造りから数えると5ヶ月経過。
粕も沈んだところで、上澄みを熟成室の甕に移します。
この時、甕は洗いません。目に見えない酢酸菌が棲んでいるからです。このやり方で優良な酢酸菌を守り続けています。
酢は熟成室の甕で、最後の6ヶ月間静かに熟成されていきます。2ヶ月に1度、上澄みと粕を分けるため、甕から甕へ移し変えます。この時空気に触れることで、よりまろやかさが増していきます。
最後まで粕ごと熟成。 この製法が、純粋米酢『心の酢』の濃厚な味わいの秘密なのです。
また、この酢を使った『長寿村のゆず酢』、『葡萄の酢【巨峰】』もお試しください。